立論、質疑、反駁のやり方
- 立論(Construction Speech)
- 自分たちの立ち位置(肯定/否定する理由)を明確にするスピーチ
プレゼンテーションや発表に近い感覚で行う
- 質疑(Cross Examination)
- 立論の中身に対して相手サイドからの質問をするパート
インタビューや質疑応答、情報収集に近い
- 反駁(Rebbutual Speech)
- お互いの立論を元に反論(攻撃、守り、比較)をするスピーチ
クロージングやアピールに近い
立論×1回、質疑×1回、反駁×2回の8つのスピーチパートをこなします。
この記事では、立論から第二反駁までの8つのパートのポイントをすべて解説しています。
立論スピーチ
立論スピーチでは、自分たちのたたき台となる議論を発表していきます。肯定側であれば、プランを採用してテーマを実行するメリットを論じます。否定側は真逆のことを行います。
また、立論直後には必ず相手サイドからの質疑があり、立論担当者はこの質問に答えていきます。
オープニングスピーチやプレゼンテーションに近いですね。
肯定側立論
肯定側立論の立場は、「テーマを実行して、現状を改革するべきだ」です。
試しにこちらのテーマを例に学んでいきましょう
今回のテーマ
日本政府は、正規雇用者の副業を推進するべき
以下3点の説明が望ましいです。
- 現状は副業が禁止されおり、問題がある
- この状況は望ましくない。解決するべきだ
- 今回のテーマを実行することで解決する
肯定側は、現状に問題があり、その問題は絶対に解決するべきであり、テーマ実行で解決する、という流れで問題解決のシナリオを構築することが望ましいです。
メリットと聴くと、「何か良いこと」を想像してしまいがちですが、現状の問題が解決された未来の姿を示すほうが勝ち易いです。
これは国家や政府が新しい政策を実行する際に、よほど重大な問題でない限り動いてくれないだろう!という考えに基づいています。
否定側質疑
肯定側立論が終わったら、次は否定側の質疑です。おそらく、このタイミングで肯定側はたくさんの議論を出していると思います。
- 説明が足りない
- 理由付け弱い
- 根拠が不確か
な部分があることにたくさん気づくと思います。もちろん、これは仕方ないことです。ディベートの経験問わず、はじめてのテーマだと誰もがこうなります。
ですが、わからないことをわからないまま放置してしまうと、この後に議論がかみ合わなくなるので、質疑のタイミングでは、その解らない箇所を質問をして聴いていきます。
以下のことを聴いてみてください。
- 言葉の意味や定義、もしくはどのように解釈をしているか?
- 主張を裏付ける根拠や論拠(根拠が主張を支えている理由)は何か?
などです。
なお、質疑は反論のパートではありません。次の反論に必要な材料を集めるためのインタビューだと思ってください。
それなので、質疑のタイミングで反論をしたり、自分たちの議論を言わないようにもすることが大切です。
あくまで、わからないことを聴いていくパートだと心得てください。
否定側立論
否定側立論の立場は、「テーマを実行して現状を改革するべきでない」です。
この立場を「現状維持」といいます。
なぜ現状維持が望ましいかは、現状を改革することで新たな問題が生じてしまうからです。
以下3点の説明があるとりそうです。
- 副業を解禁すると新たな弊害が生じる
- その弊害は改革した世界よりも「害」である
- テーマを実行しない限りその問題は生じない
新たな弊害が生じて、その弊害は間違いなく「害」であると論じます。
また、今回のテーマによってのみ確実に生じる、という弊害発生を意識して作るのがコツです。
肯定側立論の効果を「作用」と例えるなら、否定側立論は副作用とだといえるでしょう。処方箋で考えてみてください。
風邪をひいたときにある処方箋を飲むことで確かに病気は言えますが、その薬を飲んだことによってのみ、別の副作業が発生するかもしれません。その副作業をどれだけ丁寧に説明できるかが否定側の説得力につながります。
肯定側質疑
否定側質疑と同じですね。
このタイミングでは、お互いの立論が出ているので、お互いの立論の違いなどを意識しながら質問をしてみてもよいかもしれませんね。
- 私たちは副業を、「主に、会社終わりに別のところで働くこと」だと認識していますが、この認識とは違うのでしょうか?
など、お互いの立論のすり合わせをしていくのもありかもしれません。
後半の反駁スピーチからは、お互いの議論に対して攻防戦をしながらも、まとめていく作業が必要になるので、このタイミングで争点を明確にしたり、どこで勝ちにいくかを決めておくのもよいでしょう。
ここら辺は戦略次第です。
反駁スピーチ
反駁スピーチではお互いの立論を元に、お大概の立論を検証していきながら、自分たちの立論がいかに優れているか?をジャッジに伝えていきます。反駁スピーチでは、立論スピーチのように新しい議論は出せないことも押さえておいてください。これは議論の拡散を防ぐためです。
立論がオープニングスピーチなら反駁はクロージングに近いですね。どのように試合全体をまとめていきながら、自分たちに票をしてもらえるかを考えながら、議論を取捨選択していくのがポイントです。
否定側第一反駁
否定側第一反駁は否定側立論の後に始まります。肯定側の反駁ではなく、否定側の反駁からスタートです。
否定側第一反駁では、肯定側立論に対してのみ反駁を行っていきます。
- 肯定側の議論は間違いだ!
- この部分ではこの説明が足りない
と肯定側立論を崩していくような反論が望ましいです。
注意すべき点は、否定側立論のように、別の新しい問題が生じる!とは論じられないことです。
新しい議論を作れるのは立論だけです。
肯定側第一反駁
肯定側第一反駁では、否定側と同じように相手側の立論に対して反駁するのと、同時に自分たちの議論を守っていかなければいけません。
ディベートの試合の中では最も忙しいパートだといわれています。
このパートで返し忘れた論点は、「認めた」とみなされます。(沈黙は同意)
否定側第二反駁
否定側最後のスピーチです。
このタイミングでは、これまでの議論をまとめていき、自分たちの議論のほうが相手の議論よりも優れていることをジャッジにアピールしていきます。
主な仕事は3つです。
- 小論点の返しと決着
- これまでの議論のまとめ
- 投票理由の提示
否定側第二反駁は、否定側にとって最後のスピーチになります。
そのため、次の肯定側第二反駁を封じられるくらい強い投票理由を示すのがポイントになります。
肯定側第二反駁
基本は否定側第二反駁のお仕事と一緒です。
- 小論点の返しと決着
- これまでの議論のまとめ
- 投票理由の提示
を意識しながらスピーチを組み立てます。なお、このタイミングでは、新しい議論を作ることはできません。これまでの議論を振り返りながら、ひとつひとつを丁寧にまとめていきます。