ディベートを学ぶとどんないいことがあるの?効果&技術を17点に分けてご説明

ディベートを学ぶと何かいいことがありますか?
やっぱり自分の意見が言えるようになることでしょうか?
論理的に物事を考えられることでしょうか?
逆にディベートを学ぶデメリットってありますか?

 

全部お応えします。

 

巷のディベート本に書いてあることをそのまま引用しても同じことを言っている奴だと思われるので、即興ディベートワークショップで得られた声と現在の自分の活動にどのように生かされているのか?を軸にご説明していきます。

 

注:このページでは、副業を題材にした例文をいくつも載せておりますが、ディベートを理解するためのサンプルです。即興ディベートワークショップ参加者様の参加者様の中で副業に興味がある方や副業実践者の方が多かったので、あえて副業ネタをチョイスしました。あなたに副業を推奨しているわけではございません。

 

 

基礎スキル

 

1.聴く力/傾聴力

ディベートの試合をすると皆さんが口をそろえていうこと。それは、話すよりも聴くことのほうが大事!です。

 

ディベートの試合では、相手の議論を相手以上に理解している必要があります。正確にいうなら、相手が何を言ったか?ではなく何を言っていないか?まで聴く態度で臨んでいきます。

 

ひとつ、実際の試合で合った例を用意します。

 

みんなが副業ができる世界のほうが望ましいに決まっている。なぜなら、副業をすれば従業員の収入が増えるし、会社の負担も減るからだ。

 

さて、この人は何を言っていないでしょうか?

 

【答え】

  • 副業をすることで従業員の収入が増える裏付け
  • 副業社会になると会社の負担が減る道筋

 

「そんなの当たり前じゃん。」と思う方もいるかもしれませんが、ディベートの試合の中ではたくさんの議論が飛んでくるため、ひとつひとつに対して相手の言っていない箇所を的確に聴くのは難しいです。

 

実は、このスキル、本当はカウンセラーさんに学んでほしかったりもします。クライアントの方は、秘密を隠しているようですべて暴露しています。なぜか言わないことが答えです。

 

話がそれました。

 

最初のスキルは、この傾聴力(何を言っていない、かまでを聴きとるスキル)です。

 

2.思考力/考える力

ディベート本では、「論理的思考力」がクローズアップされていますが、必ずも論理的思考力やロジカルシンキング系の本で説かれているようなものではありません。そこらへんは混在させないでくださいね。

 

ディベートで身につく思考力、考える力、思考力とは、トゥールミンロジックの論証モデルです。

 

  1. 主張をしたら必ず根拠を用意する
  2. 根拠に対して本当の主張を導き出す
  3. 根拠と主張の間にある論拠を導く
  4. 論拠に対して適切な裏付けを行う
  5. 自分の論理にあえて反証をしてみる
  6. 根拠と主張が強度を評価してみる

 

ディベート思考体系が、万人が納得するような絶対的に正しい答えを出すのではなく、相対的に正しい論証を導き出せたほうが説得力があるとみなされるからです。

 

極論をいうなら、あなたの論理が20点だとしても、相手の論理を10点まで削っていけば試合に勝てるわけです。絶対的に正しいかではなく、相対的に説得力があるか?と考える思考が求められます。

 

3.編集力/まとめる力

 

様々なの情報をひとつの論理に統合する力です。ディベートの試合では短時間で自分の主張をまとめていくことが求められます。

 

一概には言えませんが、もしも副業を解禁すると、みんなが副業をして、平日も休日も働いくような日々になって、忙しくなって、平日に出社しても仕事ができなくなるため、最後は全部だめになるような気がするのではないでしょうか?

 

理想は主張、理由、具体例、結論ですかね。

 

副業を解禁するリスクは2つです。
1点目:
主張:働く時間が増える
理由:平日は会社で働き、休日も働くため働く時間は増えます。
具体例:毎週土日に12時間働いたと仮定すると、会社の労働時間と合算して200時間を超える。
結論:働く時間が確実に増える

 

2点目:
主張:パフォーマンスが低下する
理由:疲労が蓄積する
具体例:実際にわが社でも休日出勤したら翌週のパフォーマンスが低下する社員が多かったことが判明した
結論:休日に働くと平日のパフォーマンスが低下する

 

このようにディベートの試合をすると、必然的にスピーチの意図を理解して、無駄を省く形で的確に主張を行えるようになります。ディベートの試合をすると思考がそっち寄りになります。

 

4.表現力/伝える力

ひとつの言い方について様々な言い回しができるようになります。瞬時に言葉選びができるようになります。これを表現力とも呼んでいます。

 

先ほどの2点目も表現力を意識するとこのような言い回しができるようになります。

 

2点目:
主張:仕事の質が下がる
理由:休日の「疲れ」が翌日に影響するから
具体例:実際にわが社でも休日出勤したら翌週に疲労感を感じていたため、書類の書き漏れや入力ミスが多かったことが解った。
結論:休日に働くと翌週に影響する

 

このようにディベートをすると、普段から自分がどのような「伝え方」をしているかを意識するようになるため、様々な言い回しのパターンが作れるようになります。

 

即興ディベートワークショップ参加者様の中でもよくいただく声が、「伝え方を変えたら、相手の反応が大きく変わった」です。言葉選びは盲点になりがちですが、非常に大事だったりします。

 

■補足:言葉選びや言い回し

私がウェブライティングなどを学んでいるため、その影響もあるかもしれません。必ずしもディベートによるものとは保証しかねます。

 

 

5.傾聴〜表現までの一連の動作

5点目は、傾聴、思考、編集、表現をひとつの流れで学べるということです。特に、反論のパートでは、相手の議論を聴いて、それに対して盲点を探して、自分の議論を組み立てて、スピーチを行います。

 

コミュニケーション講座では、「聴く」「考える」「まとめる」「伝える」に特化した講座は、日本にたくさんありますが、この4つをひとつの流れで学べるところは少ないと個人的には考えております。

 

そして、なぜこの4つの動作を一連の流れで行っていく必要があるか?というと、4つのうちどれか1つでもゼロになると全てがゼロになるからです。

 

さて、あなたが躓いているのはどこでしょうか?

 

ディベートスキル応用編

ドンドン行きます。

 

応用編では、実際にディベート寄りの内容かもしれませんが、なるべくイメージできるように書いていきたいと思います。

 

6.複眼思考

複眼思考とは、物事を様々な角度からとらえたり考えたりすること、です。

 

例えば、「副業」というキーワードがここにあるとします。

 

通常、会社で働いている方であれば、副業=休日にもうひとつ別の仕事をしてお小遣い稼ぎをすること、だと考えるかもしれません。ですが、ここで複眼思考をもつとこのように考えることができます。

 

  • 副業の定義

    -副業とは、空いた時間の就労、隙間時間に自力で稼ぐ方法を身につける

  • 従業員視点の副業

    -休日に別の仕事をして副収入を得ること、もしくはその取り組み

  • 会社視点の副業

    -従業員の健康上の問題、会社に損害を与えるようなことはしないか

  • 政府/行政の視点

    -税収が増えるのは嬉しいが、保険や税法上の手続きが追い付かない

  • 社会全体の視点

    -各自が好きなことを仕事にして自己実現ができるのなら、それは歓迎

  • 副業斡旋業者の視点

    -会社勤めの人が副業市場に参加をすることで自分たちが潤う

 

など、このように「副業」ひとつでも様々な立場から物事を考えるようになるため、結果としてひとつの視点に囚われず、複眼的に物事を考察できるようになります。

 

 

視点が多いのが必ずしも良いことではありません。たとえ視点が狭くても、それについて深く掘り下げて考えることも、同じくらい大事です。

 

7.弁証法的な思考

弁証法的な思考とは、ヘーゲルによって定式化されたある物事が正しいという視点と、その「正しい」という判断は間違いかもしれない、という逆の視点を持つこと

 

例えば、もしもあなたが、「好きなことを仕事にするのが素晴らしい」とお考えでしたら、同時にこのような視点を取り入れてみます

 

  • いや、個人の好きと仕事を結び付けるのはどうかと思う(以下、理由)
  • 消費者としての「好き」なのか、働き手としての「好き」は一緒とは限らない
  • 「好き」を仕事にすることで、「好き」が嫌いになる可能性もあるのでは?

 

と、このように普段から考えていることに対して、「必ずしもそうではないのでは?」「逆の考えもありうるかもしれない」という視点を持っておくことです。

 

結果、自分の中にある「思い込み」や「思考の偏り」がなくなり、より客観的に立場で物事を考えられるようになります。ディベートでは、ひとつの問題に対して必ず肯定側と否定側の視点から検証するため、この弁証法的な思考が身につきます。

 

8.メリット&デメリット思考

ディベートの試合では、あるテーマに対して必ずメリットとデメリットの両方の視点をもって議論に取り組みます。相手側の視点も取り入れているから真逆の主張を受けても冷静に対処ができるようになります。

 

例えば、日本政府は副業を解禁するべきであるというテーマでディベートをすることになったとします。

 

この場合、必ず副業をすることによるメリットとデメリットの2つを用意します。どちらか(支持する考え、得意な論調)ではなく、必ずメリットとデメリットの両方で考えます。

 

そして、もうひとつ。ディベートには、このメリットとデメリットを論じるさいに、聞き手に確実にわかってもらえるような伝え方があります。これをメリット・デメリットの3要件といいます。紹介します。

 

■メリット=問題解決(3つの論証要件)

  1. 現状に何らかの問題があることを指摘する
  2. その問題は解決するされるべきだと論じる
  3. テーマ実行による解決の手順を述べる

■デメリット=弊害発生(3つの論証要件)

  1. 弊害が発生する一連の手順を示す
  2. その弊害が、本当に「害」であると論じる
  3. 現状でその弊害はないことを証明する

 

この3要件に関しては、問題解決や弊害発生を論じるうえで非常に優れたプレゼンツールだと考えております。もしもあなたが聴衆に対して「こうしましょう」「これをしてはいけません」と伝えるときに必ず役に立ちます。

 

ディベートをする、しないに関わらず是非とも覚えてほしい考え方のひとつです。

 

9.根拠→主張→論拠で考える

【2】の考える力と被りますが、ディベートで必ず身につくのが、この根拠→主張→論拠の考え方です。

 

  • 根拠−多くの方から支持されるような客観的な事柄、事実、出来事
  • 主張−あなたがいちばん言いたい事、訴えいたい事
  • 論拠−根拠が主張を支えていることを示す理由、理由付け

 

例をひとつお出しします。

 

あなたは久々に大学時代の友人に会いました。その友人は、去年仮想通貨の投資をはじめたら大儲けしたとのことでした。その友人の言動を見る限り嘘はついていなさそうです。そこで、その友人はあなたにこう提案しました。
「仮想通貨は儲かるよ。やってみなよ」と

 

では、上記の内容を根拠、主張、論拠に当てはめて考えると、以下のように整理をすることができます。

  • 根拠−友人は、仮想通貨で儲かった
  • 主張−あなたもやってみなよ
  • 論拠−去年の自分もできたのだから、あなたもできる

その友人が本当に仮想通貨で儲かったのかに焦点が向かうかもしれませんが、今回注目してほしいのは、根拠ではなく「主張」と「論拠」です。

 

この友人がいちばん訴えたかったことは、「仮想通貨が儲かる」ではなく、「あなたもやってみなよ」なのです。その理由は、自分は仮想通貨で儲かった、なのですが、ここで注目してほしいことは2つです。

 

去年の自分ができたからあなたもできる、です。

 

  • 去年と今は同じ状態なのか?
  • その友人ができても、あなたができるかは別

 

実は、この2つについては何ら立証をしていないのです。本人すら、この論拠に気づいていない場合もあります。

 

ディベートの試合では、相手の根拠の成否に拘るよりも、相手がどんな論拠をもって論理展開をしているのかを見破るほうが勝敗を決めるためのポイントになります。逆に、この論拠さえ見破れば、議論はあなたのペースで進めることができます。

 

例えば、会社が副業を禁止している(根拠)から副業ができない(主張)とお考えなら、「会社のルールには従うべき」という論拠があなたの中で働いています。

 

 

 

 

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